島根県立美術館で開催中の「新庄二郎が愛した浮世絵」展
葛飾北斎の「冨嶽三十六景 凱風快晴」や歌川広重の「東海道五拾三次之内」など有名な浮世絵コレクションの展覧会です。
新庄二郎とは
新庄二郎 [明治34(1901)年-平成8(1996)年]
松江市伊勢宮町で遊郭を営む新庄儀一郎の次男として生まれる。明治大学商科専門部を卒業後、大阪で電気照明器具の仕事に就き、戦後、電気スタンドの専門会社を設立した。昭和25(1950)年頃に小林清親の版画を購入して以降、浮世絵蒐集にめざめ、桑原羊次郎旧蔵の歌川広重《東海道五拾三次之内》や肉筆浮世絵の入手を機に、コレクションは広く知られるようになる。昭和39(1964)年の東京五輪、昭和45(1970)年の大阪万博の折の記念展示で一部の所蔵品が出品された他、「新庄コレクション」と銘打った浮世絵展が全国各地の美術館・博物館・百貨店で開催された。昭和58(1983)年、コレクションを故郷の島根県へ一括で譲渡した。晩年に日本浮世絵協会の理事を務め、浮世絵の普及活動への功績から、平成7(1995)年、第14回内山晋米寿記念浮世絵奨励賞を受賞した。
この展覧会で作品の合間にある「新庄二郎」さんについての解説。そのなかで気になった言葉…「蒐集」。
なんて読む?どんな意味?
私の中では「しゅうしゅう」と読めたのですが^^;
さっそく調べてみたところ「しゅうしゅう」で正しいことはわかりました!
が、「収集」とは違うの?
ということで違いが気になって詳しく調べてみました。
「蒐集」と「収集」の違い、「蒐」の意味
蒐集とは
趣味や研究のために、特定のものを集めること。コレクションすること。
収集とは
物を一箇所に集めること。
つまり蒐集と収集では集めるものが異なるようです。
蒐とは
1.あかね。あかねぐさのこと。アカネ科の多年草
2.あつめる。寄せあつめる。
「集・収」に書き換えられるものがある3.かり。春の狩猟
「蒐」の一つ目の意味「あかね」は「茜」とも表記するとのこと。
あかね(蒐・茜)
アカネ科の蔓性 (つるせい))の多年草(複数年にわたって生きる植物)。根から赤色の染料。着色に用いる物質)をとる。 夏から秋にかけてで、目立たない小さな花が咲く。 秋には黒い果実をつけ、冬にはほとんど地上部は枯れてしまうが、春になると根から芽を出し、成長する。
この蒐(茜)の赤い根から赤い染料がとれるのですね。
まさに「蒐」という名前がぴったりの根じゃないですか???
ところで、「蒐集」と「収集」の意味の違いはわかったものの、「蒐」という漢字が日常的に使われなくなった理由は?
「蒐」は常用外漢字
蒐は読むことが難しいという理由で現在常用漢字に指定されていません。
常用漢字とは
常用漢字(じょうようかんじ)は、日常生活において現代日本語を書き表す場合に使用する目安として日本政府より選定された漢字である。現在は2136字が選定されている。
「蒐」から取れる赤い染料は貴重なもので、それらを集めることが「蒐集」だったようです。
現在「蒐」は常用漢字外のため学校で習うことはありませんが、改めて「蒐集」ということばの意味を見直したいい機会でした。
新庄二郎さんありがとう!