アメリカで発売禁止となった「トリクロサン」を含む抗菌石けん。日本でも同成分の製品が発売されています。
アメリカFDA(米食品医薬品局)が「トリクロサン」「トリクロカルバン」など19成分を含む抗菌石けんの販売を禁止しました。これを受けて厚生労働省も2016年9月30日に「トリクロサン」「トリクロカルバン」など19種類の抗菌成分を含む製品の業者にこれらの成分を代替品へ切り替えることを通知しました。
日本で販売されている抗菌(薬用)石けんでは「薬用石けんミューズ」などが上げられますね。この「ミューズ」に「トリクロカルバン」が含まれていたようです。
ミューズは1953年に発売され、60年以上も販売されているんです。なのに今ごろ…!?
ミューズを製造しているのはレキットベンキーザーというイギリスの会社で、世界各国に事業所があり、漂白剤や住居用洗剤、殺虫剤といった衛星品を製造しています。
私も使っている「除毛クリームVeet」もレキットベンキーザーの製品でした。
他にもクレアラシル(にきび治療薬)・ドクターショール(フットケア用品)・エアーウィック(方向消臭剤)などがあります。
今回問題になっている「トリクロカルバン」が含まれている製品は「薬用石けんミューズ」の「ミューズBH-a」と「ミューズBH-m」の2種類のみで、これらの製品はすぐに成分を切り替えするそうです。
また、「トリクロサン」については「何年も前から石けんに使用しない取り組みをしている」とのこと。つまり「トリクロサン」については危険性について多少の認識はあったということでしょうか?
トリクロサン・トリクロカルバンが使われている製品
ドラッグストアなどで目にするものをいくつか紹介します。
・マンダムルシード薬用スカルプケアSP
・マンダムギャッツビーバイオコアデオドラントボディペーパー
・第一三共ヘルスケアクリアレックス2SKU
・第一三共ヘルスケアピロエース石けん
・クラシエナイーブ薬用植物性ハンドソープ・泡ハンドソープ
・レキットベンキーザー薬用石けんミューズ(「ミューズBH-a」「ミューズBH-m」)
・持田ヘルスケアフルフル液体石けん・泡石けん
・マックス太陽のさち柿渋石けん・薬用エチケット石けん
・花王ピュオーラアクア
・花王ビオレさらさらパウダーシート
・大正製薬デントウェル歯周・口腔用薬用歯磨き
(2016年9月30日現在「トリクロサン」「トリクロカルバン」が含まれている製品です。)
すぐに成分変更などの対応をしていくようですが、購入の際には裏面の成分を確認してから購入したいですね。
「トリクロサン」「トリクロカルバン」何が悪いの?
「トリクロサン」「トリクロカルバン」は環境ホルモン作用があるとされています。
環境ホルモンとは
「外因性内分泌攪乱物質」または「外因性内分泌攪乱化学物質」と呼ばれていて、化学物質が生物の体内に入り、生物が持っている 本来のホルモンと同じ作用をしたり、反対の作用をしたり,若しくはその子孫のいずれかの世代で、健康障害性の変化(甲状腺、副腎皮質、乳腺、生殖器官、腎臓、脳等に対して影響がある)を起こさせる化学物質のことである。
殺菌剤・防腐剤・殺虫剤・農薬・食品添加物・ダイオキシンなど、約 70 種もの化学物質があげられていて、環境汚染された状態の川や海などからも有害物質が検出されている。さらに、産廃処分場の侵出水から、 30 種以上の環境ホルモンが検出されたという例もある。
また、動物実験では環境ホルモンを摂取すると、肝硬変や肝細胞がんの発症リスクが高まることがわかっています。
「トリクロサン」「トリクロカルバン」は口からの摂取以外に、皮膚からも体内に吸収されるため、歯磨き粉やマウスウォッシュだけでなく、ハンドソープなども販売禁止・成分変更の対象になっているわけです。
もちろん、下水から河川・海などへ流れ出た「トリクロサン」「トリクロカルバン」は生態系への影響も考えます。
ヨーロッパでは昨年すでに販売禁止になっているということなので、アメリカ、日本は対応が遅かったといえます。
実際のところ「トリクロサン」「トリクロカルバン」には殺菌作用も確認されず、病院などでも「薬用石けん」のようなものは使用されていないとのことです。
外科医が手術する際は、しっかり水洗いし、その後アルコールを噴射することで殺菌しているとのことですね。
我が家でも寒い季節、風邪が流行り出すと「薬用ハンドソープ」に頼っていましたが、これからは「消毒用アルコール」で対応しようと思います。
花王プロシリーズ ハンドスキッシュEX 本体 ショートノズル(800mL)【花王… |
さいごに
生活が便利になればなるほど、体や環境に悪いものが多くなるよう気がしています。
人間も自然の一部。
あとで大きな仕返しに合わないよう、一人一人が気をつけなくちゃいけないなぁ…と感じています。