10月のことを神無月と呼びますが、出雲では神在月と呼ばれています。
というのも全国の神々が出雲の地に集まるため、このように呼ばれているのです。
その神在月、実は旧暦の10月のことをさすので、実際の暦では11月になります。
11月に入ると出雲大社では「神迎祭」や「神在祭」そしてお見送りの儀式「神等去出祭(からさでさい)」など様々な儀式が行われます。
非公開の儀式などもあるため、せっかく訪れたのに何も見られなかった!などとならないよう、神在祭の見どころと、この時期ならではの、全国の神様を参拝する方法について紹介します。
神在祭スケジュール
神迎神事・神迎祭
11月27日(旧暦10月10日)
出雲大社の西にある稲佐の浜にて神々をお迎えする神事です。
夜の7時になると、御神火が焚かれ厳かに神事が始まります。神事後は奏楽が奏でられる中、先導役「龍蛇神」を先頭に、参拝者が連なって「神迎の道」を出雲大社まで行列になって歩いて行きます。
龍蛇神は豊作・豊漁・家門繁栄などの信仰があり、神在祭期間は八足門内廻廊に奉祭され、一般の方も自由に参拝できます。
神在祭
11月28日・12月2日・4日(旧暦10月11日・15日・17日)
全国の神々は旧暦の10月11日~17日までの7日間、出雲の地で、人生諸般の事などを神議り(かむはかり)にかけて決めているそうです。
男女の結びについてもこの神議りにあてはまるそうで、よって出雲大社が「縁結びの神」と言われる由縁です。
この期間中、出雲大社の御本殿両側にある十九社(じゅくしゃ)では連日お祭りが行われますが、一般の方は参拝(参列)できません。
縁結大祭
12月1日・2日・3日・4日(旧暦10月14日〜)
出雲大社の神様「大国主大神様」と全国の「八百万の神々」へ縁結びの祝詞が奏上されます。この祭典に参列するためには事前の申し込みが必要です。
詳しくはコチラ ⇒出雲大社ホームページ
神等去出祭
12月4日(旧暦10月17日)
夕方4時に出雲大社境内の十九社の神籬が絹垣に囲まれて拝殿に移動され祝詞が奏上されます。
その後神官の「お立ち~お立ち~」を合図に神々は神籬を離れ出雲を去られます。
その後旧暦の10月26日に神々が去られたことを大国主大神様に報告する儀式があります。
こちらの神事の中には一般の方には非公開のものもあります。むやみにカメラで撮影するのは厳禁とのことです。ご注意ください。
神在月に出雲大社を参拝するなら…
全国の神様たちが集まっているこの時期に、出雲大社に参拝しない手はありませんよね。
そこで、できるだけ多くの神様を参拝するための参拝方法をご紹介します。
出雲大社を参拝するに、まず最初に鳥居をくぐるところから始めましょう。
出雲大社には四つの鳥居があります。
一つ目の鳥居は宇迦橋のふもとにある高さ25mの大鳥居です。白くて大きな「石の鳥居」は国内最大級と言われています。
大鳥居から出雲大社方面へ向かうと道の両脇にお土産やさんなどが連なる神門通りがあります。
その後、出雲大社と書かれた石碑の脇に二の鳥居「木の鳥居」があります。
一の鳥居から二の鳥居までは徒歩で約6分程度の距離です。
木の鳥居をくぐると下り参道と呼ばれる緩やかな傾斜の参道が続いています。参道の真ん中は神様の通り道ですので、参拝者は道の端を歩くようにします。
参道の途中右側に「祓社」があります。祀られているのは四柱の祓井神(はらいどのかみ)です。ここでお参りして身を浄めてください。
三つ目の鳥居は鉄の鳥居です。この鳥居をくぐると両脇に見事な松が続きます。その途中左側に「御自愛の御神像」と右側に「ムスビの御神像」があります。
御自愛の御神像は因幡の白ウサギの神話と関連がある像です。
また、ムスビの御神像は大国主大神様が幸魂奇塊(さきみたまくしみたま)を授かりムスビの大神になられた場面を表しています。
とても大きな神像です。思い思いのポーズでカメラに収めると思い出に残ると思いますよ。
四つ目の鳥居の前に「手水舎」があります。ここで、しっかり手と体を浄めましょう。
お浄めの仕方は、まず右手で柄杓を持ち、左手を洗ってから柄杓を持ち替え、右手を洗います。
その後左の手のひらに水を溜め、口にふくんで軽くすすぎます。
再度左手を洗ったら、最後に柄杓の柄も洗ってから元の場所に戻します。
四つ目の鳥居は日本で最古の青銅の鳥居です。
その鳥居をくぐると、立派な拝殿が見えてきます。
まずはこちらで参拝します。
出雲大社の参拝の仕方は二礼四拍一礼です。
深い礼を二回。その後胸の前で手を合わせます。この時、右手をやや引き気味に手を合わせ四拍手します。
ただし、神在月の期間は神々の邪魔にならないよう音を立てずに四拍するとされています。
拝殿では祈祷などが執り行われます。祈祷を希望する方は拝殿の左手にある祈祷受付所にてお手続ください。
観光シーズンなどは1時間以上の待ち時間になる場合もありますのでご注意を。
拝殿での参拝が終わったら、拝殿奥にある本殿へ向かいます。
ただし、本殿での参拝は新年など決まった時期にしかできません。
本殿手前にある八足門で本殿に向かって参拝します。
その後本殿左側にある西十九社よりお参りします。この西十九社はまさに全国から集まった十九の社の神々が宿泊している場所です。
神在祭の期間中は毎朝お供え物を献上し、祝詞をあげてお祈りしています。
ぜひこの機会に全国の神々を参拝してください。
ちなみに神在月以外の時期は出雲から各社をお参りできる遥拝所とされています。
出雲大社に来れば、いつの時期でも全国の神様にお参りができるのですね
同じく本殿の右側には東十九社があります。こちらも西と同様全国から集まった神々の宿泊先となっています。
では、どうして西十九社から参拝するのでしょうか?
実は本殿の祀られている大国主大神様は西を向いて座っています。そこで、西十九社側から正面で大国主大神様をお参りすることで、さらなる恩恵、ご利益をいただけるとされているからです。
その西十九社から本殿の周りを時計回りに進んでいくと順に南氏社、北氏社、宝庫、彰古館、素鵞社、文庫、釜社、東十九社と続きます。
なかでも、「素鵞社」は素戔嗚尊を祀っている社とされており、出雲大社内で最も強いパワースポットとされています。ぜひ参拝したい社ですね。
素戔嗚尊とは
天照大御神の弟神で、出雲国の肥河上での八岐の大蛇退治はあまりにも有名です。また大国主大神の親神であられ、大神に国づくりの大任を授けられました。
各社についてはこちらのサイトで詳しくみることができます⇒コチラ
最後に忘れてはならない「出雲大社の大しめ縄」です。
このしめ縄があるのは本殿より西側へ向かったところにある「神楽殿」です。
このしめ縄にお賽銭が挟まると願い叶う…と言われていた頃もあったようですが、現在は安全のため網でガードされています。
この神楽殿ではご祈祷の他、結婚式なども行われています。11月は婚礼シーズンなので、白むく姿の花嫁さんに会えるかもしれません。
さて、出雲大社でこころゆくまで参拝できたら、帰り道にはお土産や美味しい名物に舌鼓をうちたいところですね。
こちらの記事では、出雲大社の名物、お土産品を紹介しています。
ぜひ参考にしてください。
神在月の神事はひっそり厳かに行われるものが多いです。というのも神様は恥ずかしがりや?とか?で姿を見られないよう移動されるようなので、むやみにカメラで撮らないようにしてあげてくださいね。
この時期の出雲大社は、周辺の山々では紅葉が始まり、境内では神楽の演奏なども行われていて、絶好の観光シーズンです。
美しい日本の景色をカメラにおさめながら、ゆっくり満喫してください。
出雲大社へ続く神門通り途中にある「出雲大社おもてなしステーション」では出雲大社を正しく参拝するための「ご参拝提示ガイド」を申し込むこともできます。
中学生以上一人600円(約90分途中離脱可)で、1日3回(10時・13時・15時)開催されています(予約不要)。
ぜひご利用ください。