読み聞かせ講習会「読んで語って~昔話を子供たちに~」

読み聞かせ講習会に行ってきました。

今回は「幼児の成長を育む講座」ということで「昔話」について。

前回の講習会では「選書についての悩み」に対して「昔話のような普遍的な物語」と言われこともあり、最近はもっぱら小学校の読み聞かせでは「昔話」にチャレンジしています。

でも、昔話って意外と難しいんです。

登場人物のセリフに方言が含まれていたり、間の取り方などで物語の雰囲気も変わってきます。

また読み手のキャラクターが多大に出てしまうこともあり、子供たちがお話の中にスムーズに入り込めるよう意識はしていますがなかなか…^^;

今回の講習会では「読み方」についての説明はあまりありませんでしたが、昔話を読むにあたって勉強になることがあったので紹介します。

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昔話を読み聞かせする時の注意点

イメージを損なわない挿絵のついた本を選ぶ

絵本を見せながら読み聞かせする場合、子供たちは挿絵のイメージ通り話を聞いていくことになります。

そこで、物語からかけ離れたイメージの挿絵や印象的な挿絵の本は誤ったイメージを植え付けてしまう可能性もあるので物語に沿った挿絵の絵本を選ぶようにします。

昔話の場合、いろいろな人が再話していたり、同じ物語でも画者異なる本も多いため、他の本と差をつけて出版することが多いそうです。

そこで、子どもに読む昔話はできるだけ物語に忠実な挿絵のものを選ぶのが好ましいとのことです。

同じ物語を比べて選ぶ

同じ物語でも、再話者によって登場人物など異なる場合があります。そこで、登場人物や物語の構成など比べて読むことも重要です。

今回の講習会では「三枚のお札」を例に挙げられていました。

① 三まいのおふだ(2007 くもん)
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日本昔ばなし 三まいのおふだ

絵:かないだえつこ 再話:おざわとしお
登場人物:おしょう・こぞう・やまんば
小僧の目的:たきぎとり
鬼ばば(やまんば)との距離:抱いて寝る
逃走:①べんじょ ②大川 ③砂山
化け比べ:なし
最後:池でおぼれ死ぬ
シメの言葉:それでやまんばはしんでしまいましたとさ、それっきり

② さんまいのおふだ(1978 福音館書店)
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さんまいのおふだ (こどものとも傑作集)

画:梶山俊夫 再話:水沢謙一
登場人物:おしょう・こぞう・おばば
小僧の目的:花きり
鬼ばば(やまんば)との距離:抱いて寝る
逃走:①白 大山 ②青 大川 ③赤 大火事
化け比べ:大→小 豆つぶ
最後:食べられる
シメの言葉:いちごさかえたなべのしたガリガリ

③さんまいのおふだ(2008 童心社)
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さんまいのおふだ(松谷みよ子むかしむかし)

遠藤てるよ 松谷みよ子
登場人物:こぞう・やまんば・おしょう
小僧の目的:栗拾い(出直す)
鬼ばば(やまんば)との距離:別の部屋
逃走:①べんじょ ②大川 ③砂山
化け比べ:大→小 納豆
最後:食べられる
シメの言葉:これでおしまいしゃーんしゃん

③ 三まいのおふだ(2008 岩波書店)
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三まいのおふだ (てのひらむかしばなし)

絵:きむらよしお 文:長谷川摂子
登場人物:おしょう・こぞう・鬼ばば
小僧の目的:花とり
鬼ばば(やまんば)との距離:抱いて寝る
逃走:①大川 ②大やぶ ③大火事
化け比べ:大→小 納豆まめ
最後:食べられる
シメの言葉:いちゃぼーんとさけた

④ さんまいのおふだ(1976 東京こども図書館)
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おはなしのろうそく 5

カット:大社玲子
登場人物:おしょう・こぞう・鬼ばば
小僧の目的:栗拾い
鬼ばば(やまんば)との距離:別の部屋
逃走:①便所 ②砂山 ③大川
化け比べ:大→小 豆粒
最後:もちにはさんで食べられる
シメの言葉:これきって とっぴんぱらりのぷ

登場人物やシメの言葉など、見比べると面白いです。

昔話は口承文化、音楽と同じ

昔話は脚色されすぎていたりすると、リズムよく物語が進行しないので子どもたちにも聞きにくい印象を与えてしまいます。

発した時に消えていく、耳に届いて染み込んでいく、と昔話はまるで音楽のように捉える必要があるようです。

そこで、「読み聞かせ」ではなく「ストーリーテリング(語り)」として子供たちには聞かせてあげるのが望ましいのだと感じました。

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今回の講習会のテーマが「昔話」ということで、同じお話でも「絵」によってイメージが変わることなど、「絵」の重要性を感じました。

最近の図書館の児童書コーナーは「作者」ごとではなく「絵・画者」ごとに並べるところが増えてきているようです。

確かに我が家の子供たちも「林 明子」さんの「はじめてのおつかい」を読んでから、一気に「林 明子」さんシリーズを読み切った記憶があります。

絵本にとって「絵」は本当に重要です。

今回の講習会で「画者」についてもいろいろと勉強になったのでまた次回紹介したいと思います。

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